『ハイハイ』はいつから?ハイハイするまでの具体的な成長の流れ

赤ちゃんの成長は日々めざましく、首がすわり寝返りをして、おすわりができるようになると、次はハイハイと楽しみにしているママやパパも多いことでしょう。ところがハイハイに関しては、「ハイハイをしない」「ハイハイが苦手」といった心配もあるようです。今回はハイハイについて、ハイハイするまでの成長の流れや、ハイハイの練習方法も紹介します。

ハイハイができるようになるまでの成長過程は?

赤ちゃんの体の運動発達は、頭から首、腰、足へと、頭部から足の方向に向かって順に進んでいきます。 例えば、眼や頭を動かして見るようになり、そのあと手を伸ばす、足を使うようになるといった具合です。

ハイハイには大きく分けて、手のひらとお腹より下の下半身を床に付けて移動する「ずりばい」、手のひらと膝を床に付けて移動する「四つばい(いわゆる、ハイハイ)」、手のひらと両足を床に付けて移動する「高ばい」などがあるとされます。

最初に「頭部から足の方向に向かって運動発達する」と説明したとおり、寝返りができるようになったら、 腹ばいの姿勢でおなかを中心にグルグルまわったり、腹ばいでバックしたりすることが多いでしょう。やがて、腹ばいで手やひじを使って前進する「ずりばい」が始まります。次に手のひらと膝で体を支えられるようになったら「四つばい(ハイハイ)」ができるようになります。さらに、四つばいの姿勢からひざを床から離した「高ばい」をするようになる赤ちゃんもいます。

ただし、赤ちゃんがみなこれらのハイハイすべてを経験するとは限りません。発達は個人差が大きく、赤ちゃんの中には、ずりばいをほとんどしない子もいますし、逆にかなり長期間ずりばいをしていて、ハイハイは短期間しかせずにつかまり立ちをしたり、ハイハイをまったくしないままつかまり立ちをしたり、いきなり立って歩きだす子もいます。

また、ハイハイのスタイルにも個人差があります。片ひざだけついて進む、よつばいからジャンプしながら進む、などといった変形ハイハイをする子もいます。 背中を床につけて移動する「背ばい」や、座ったままお尻で移動する「シャフリングベビー(※)」という、いわゆる「ハイハイ」のイメージからは遠い方法で移動する子もいます。

※シャフリングベビーとは?

おすわりの姿勢のまま、足でこぐようにして移動する赤ちゃんのことを言います。シャフリングベビー(shuffling baby)という言葉は、英語のshuffle(足を引きずって歩く)からきています。

シャフリングベビーによく見られる傾向は、次のとおりです(すべて当てはまるというわけではありません)。

・首すわりやおすわりは順調にできている
・うつぶせ寝が嫌い
・座ったままおしりとすりながら足でこぐように移動する
・立たせようとしても膝を曲げたまま伸ばそうとせず、床に足の裏をつけたがらない
・親や兄弟にもシャフリングベビーがいた
・ハイハイをしないままつかまり立ちをすることもある
・歩き始めるのが、1歳半~2歳と遅めになりやすい

シャフリングベビーは、歩き始めは遅めですが、2歳ごろまでにはあんよをマスターし、その後は順調に上達して早く歩き始めた子と同じように歩けるようになります。

なお、シャフリングベビーのうちの75%は歩き始めに遅れは見られなかった、シャフリングベビーのその後の発達を観察すると、運動能力などに何の問題もない子どもに育ってゆく、という報告もあります。

ハイハイはいつから?するまでの具体的な成長の流れ

ハイハイするまでの、赤ちゃんの成長の流れの一般例を紹介します。

生後3か月頃~:首がすわる

縦抱っこをした際、頭がぐらぐらせず、安定すれば首すわり完成です。
また、仰向けに寝かせて両腕を持ちながら引き上げ、遅れずに首がついてくることも首座りの完成の目安となります。

生後4~6ヶ月頃~:寝返りをうつ

仰向けの状態からうつ伏せの状態になる、または、うつ伏せの状態から仰向けの状態になることができれば寝返り完成となります。

生後5~7か月頃~:おすわり

※寝返りが完成しなくてもお座りができる子もいます

両手を前についた状態の前傾姿勢のおすわりから始まり、徐々に筋肉の発達に伴い背筋がピンと伸び、手を使わずにおすわり状態を維持できるようになってきます。

生後5~7ヶ月頃~:ずりばい

※一人でおすわりができなくてもずりばいは始まりまることもあります。

うつ伏せ状態で、おなかと足を床につけながら、手の平や足裏で床を押したり引いたりして、前や後ろに這いながら進むようになります。
手を前に出す動作より、手で床を押す動作の方が赤ちゃんにとってはやりやすいことから、多くの場合、後ろに進むずりばいから始まることの方が多いです。中には、ずりばいをしないままおすわりができるようになり、そのままハイハイへ移行することもあります。

生後7~10か月頃:ハイハイ

手の平と足の膝で体を支え、バランスを保ちながら進めるようになったらハイハイ完成です。

ハイハイ練習方法

赤ちゃんのなかには、ずりばいからハイハイを通らずに、いきなりつかまり立ちをする子もいます。つかまり立ちと並行してハイハイをし始めるなんてことも珍しくありませんよ。段階や順序にも個人差があるので、ハイハイをしなかったとしても大きな問題ではありません。

しかし、なかなかハイハイをしないと感じたときは、一度室内の環境を見直してみてもいいでしょう。部屋にものが多すぎたり、スペースが狭かったりすると、動こうとする意欲を掻き立てられません。ある程度のスペースを確保することから始めてみましょう。

特別な練習も必要ありませんが、自力で腕や足を動かすコツを覚えさせるのは良いかもしれませんね。無理な練習をすると、股関節脱臼などにつながることもあるので、あくまで赤ちゃんとの遊びの中で自然に身につけられるサポートをしてあげましょう。

ハイハイを促すコツ

ずりばい運動を繰り返してあげましょう。赤ちゃんをうつぶせにしたら、ママが足の裏に手の平を当て、蹴り進められるようにし、足腰の力をつけていきます。

顔を上げたときの視界の範囲内に、お気に入りのおもちゃを置いておくのも良いですね。ずりばいをする先にママが座り、ママに近づいてきたら膝に登らせてみるのも効果的です。

体を持ち上げる感覚を掴むと、自然と四つん這いの姿勢に移行することもあります。

神経や筋肉といった機能が育てば教えなくても自然とできるようになりますし、そもそもかならずしなければいけないものでもないので、「ハイハイの練習」は必要ありません。ただ、「ハイハイを促すコツ」というものはあるのでしょうか?

赤ちゃんの「動きたい」気持ちを刺激する

ハイハイは、筋肉など体が発達してきてできるようになりますが、加えて必要なのが赤ちゃんの「動きたい!」という意欲です。おすわりの位置から少し離れたところにおもちゃを置くなどして、動きたい、移動したい、という気持ちを刺激してみましょう。

また、ずっと室内にいると目に入るものも単調になりがちです。外に出かけて自然に触れ合うことも、赤ちゃんの視覚、聴覚、触覚を刺激し、赤ちゃんの動きたいという意欲を高めることにつながるでしょう。

お友だちがハイハイする様子を見せて

ハイハイをなかなかしなかったり、苦手という赤ちゃんには、ほかの赤ちゃんがハイハイする様子を見せてあげましょう。1歳近くなると、赤ちゃんは自分以外の子どもにもとても興味を示し、動きを真似したりするようになります。お友だちが楽しそうにハイハイをしている姿を見れば、少しずつハイハイに興味を持つようになるはずです。

同じくらいの月齢のお友だちと一緒に遊んだり、児童館や支援センターなど多くの赤ちゃんが集まる場所に出かけてみてもいいですね。

ハイハイが遅いと感じた時はチェックしたいこと

かならずするものではないとはいえ、10ヶ月ごろを過ぎてもハイハイをしなかったら少し心配になりますよね。ハイハイをしないことが気になったとき、ほかにチェックしてみると良い点を紹介します。

ほかの運動で心配なところがないかをチェック

さきほど、ハイハイは運動発達をチェックするうえで、重要というわけではないと紹介しました。赤ちゃんが「ひとりで歩く」までの運動発達上のチェックポイントで重要とされているのは、「首すわり」、「ねがえり」、「ひとりすわり」、「つたい歩き」です。

ハイハイをしていなくても、首すわりやおすわりなどの運動発達が順調なら心配はいらないでしょう。

ただし、1歳過ぎても寝返りやずりばいでの移動をしなかったり、おすわりが不安定で支えがないと倒れてしまうような場合 は、念のため小児科で相談するとよいでしょう。

赤ちゃんが自由に動ける環境を

ハイハイをしない赤ちゃんの中には、室内で動かなくてもいい環境で生活しているというケースもあります。たとえば、赤ちゃん用チェアなどに座らせてばかりいる、おもちゃがすぐに手の届くところに置いてある、ハイハイのできる十分なスペースがあまりない、などなどです。

ハイハイをするには、赤ちゃんが離れた場所まで移動して行きたい、動きたい、という意欲も大切ですから、ハイハイしない場合は赤ちゃんを取り巻く環境を今一度見直してみましょう。

赤ちゃんがハイハイを始めたときの安全対策や注意点は?

赤ちゃんがハイハイを始めると、行動範囲がぐっと広がります。部屋を見回し、移動できる位置や手の届く距離に何か危険なものがないか確認してみてください。ほんの少しの段差でも、ハイハイをする赤ちゃんにとってはケガにつながることがあります。

以下の注意点をチェックして、赤ちゃんが安心してハイハイできる部屋作りをしてあげましょう。

赤ちゃんが安心してハイハイできる部屋づくりのポイント

● ハイハイをする赤ちゃんにとっては、地上30センチ以内が自分の動ける世界の高さ。埃やゴミが舞いやすい高さなので、念入りに掃除をするようにしましょう。

● ローテーブルなどの角が頭や目に当たりやすい高さなので、角にクッションをつけておくと安心です。

● 浴室やキッチン、下り階段へ簡単に行けるような作りのリビングの場合、ベビーゲートやベビーフェンスを使って、入れないようにしてあげましょう。

● ハイハイからいつの間にかつかまり立ちへ移行していることもあります。ハイハイが安定してきたら、ドラム式の洗濯機のフタは必ず閉めましょう。

最後に

日本人 赤ちゃん はいはい ママ

赤ちゃんがずりばいやハイハイ、高ばいをするのは、「動きたい・ものを取りたい・触りたい」などの自我が芽生えた証拠でもあります。これらの動きは、全身の筋力を発達させるだけでなく、脳の発達も促す効果があるといわれています。

赤ちゃんがハイハイをしないときは、全身を使う運動を積極的に促すようにしたり、知育玩具で脳を育てる遊びをしたり、赤ちゃんに合わせて遊び方を変えたりしてサポートしましょう。その子なりの成長する姿を楽しんであげると良いですね。