今話題の腸活って何?便秘解消?それって健康的に痩せれるの?

はじめに

みなさんは¨腸活¨という言葉を聞いたことがありますか?

医学が進歩するにつれて、腸は食べ物の消化・吸収・排泄(はいせつ)だけではなく生活習慣病・がん・免疫力の調整など全身の健康に関与している臓器であることがわかってきました。それに伴い腸を整える「腸活」が注目されています。
しかし、「腸活」という言葉は聞いたことがあるけど、やり方やメリットを知らない方もまだ多いようです。腸活をすることで、美肌、見た目の若々しさ、ダイエット効果、アレルギーや風邪の予防&改善、メンタル面の健康、睡眠改善など、健康にも美容にも嬉しいメリットがたくさんあるのですよ。

そのような方に向けて、腸活の効果やメリット、腸活にオススメの食材、さまざまな腸活の方法などを紹介します。耳にしたことがある方もない方も腸活に興味を持っている方は、参考にして今後の腸活に取り入れてみてください。

腸活ってなに?

腸活とは内の環境を整えることであり、その結果として免疫機能を調整してくれて、神経伝達物質を合成してくれるそうです。

人間の腸には、約1000種類、100兆個の腸内細菌が生息しており、種類ごとに塊となって腸壁に張り付いています。この状態は、品種ごとに咲いているお花畑のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。

腸内細菌には、人体に良い影響を与える善玉菌と悪い影響を与える悪玉菌、どちらでもない日和見菌があり、腸内環境はこれらの腸内細菌のバランスで決まります。悪玉菌が多い「悪い腸内環境」になると、便秘や下痢、肌荒れなどになりやすいといわれています。

また、腸には「腸管免疫」と呼ばれる免疫システムが備わっており、侵入してきた病原体を発見したり攻撃したりする働きがあります。この腸管免疫の働きに腸内細菌が関係していることが明らかになっており、免疫力を高める意味でも、腸内の善玉菌の割合を増やし、悪玉菌の割合を減らすように腸内環境を改善することが重要です。

腸活のメリットは?

単刀直入に言いますと腸活のメリットは“効率の良さ”です。腸を整えることにどのような医学的効果があるのかまとめました。腸を整えるだけで、ダイエット、肌の状態、メンタルヘルス、免疫力など様々な機能が改善するいわれています。
▼便秘が解消される

腸内には大きく分けて善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3タイプの腸内細菌がバランスを保ちながら存在しています。

便秘になると、腸内の悪玉菌の割合が多くなってしまい、腸のぜん動運動を促す成分を作り出す善玉菌の割合が減少し、さらなる便秘につながる悪循環になってしまいます。腸活によって腸内環境を整えることで、善玉菌が活発に働くようになり、うんちとしてすみやかに体外に排出できるようになるため、便秘解消に有効です。

▼肥満・生活習慣病を防ぐ

オリゴ糖や食物繊維の一部は、腸内細菌に分解されることで、酪酸やプロピオン酸といった、腸内の悪玉菌の繁殖を抑えて善玉菌が住みやすい環境を作る短鎖脂肪酸になります。同時に腸が「短鎖脂肪酸がたくさんあるぞ」と身体に信号を発して、エネルギー消費量を増やしたり脂肪の分解を進めたりと、肥満にならないように調節を促してくれます。逆に腸の働きが乱れると短鎖脂肪酸を生み出す力が弱まって代謝が低下してしまうので、食事に含まれるエネルギー量だけでなく、腸内環境を良好に保つことも肥満予防には不可欠です。

▼免疫力向上・アレルギー抑制

腸活によって腸内環境が善玉菌優勢の状態になると、免疫が整って病気の予防にもなるといわています。

善玉菌はオリゴ糖や食物繊維の一部をエサとして、短鎖脂肪酸(特に酪酸)という物質を生み出します。この短鎖脂肪酸は、腸内環境を善玉菌がすみやすい酸性に保つはたらきがあるほか、腸管の粘膜を保護して外部から侵入した病原菌が、腸内で増えるのを防ぎ、感染を防御する役割を果たしています。また短鎖脂肪酸が作られると過剰な免疫反応を防ぐことにもつながります。つまり、腸活により腸内環境が整うことで、腸が持つ免疫機能を整えることができ、病気予防に役立つことになります。

▼メンタルヘルスを整える

腸は「第二の脳」と呼ばれ、腸には神経繊維が張り巡らされており、その神経を通して腸の動きが脳に伝わります。これを「内臓感覚」と呼び、腸の内臓感覚によって気分や情動が変わるということがわかってきました。腸を整えることは、精神的健康にも深い関わりがあるのです。腸活を行うと、「幸せホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質のセロトニンの分泌が活発になり、ストレスの緩和につながります。

セロトニンのもとになる前駆体は、90%以上が腸内細菌で作られて脳に送られています。そのため、腸内環境が良くなるとセロトニンの生産量が増え、幸福感が増して精神が落ち着き、ストレス耐性も自然と強まっていきます。

髪や肌が若々しくなる

シミやシワ、髪のパサつきの原因は、細胞を傷つける活性酸素の攻撃によるものです。活性酸素はストレスや激しい運動などで発生し、酸化力が強いため、老化促進にもつながってしまいますが、腸の内部に生息する腸内細菌には、「活性酸素」に対抗する力があります。腸内環境が良好であれば、腸内細菌が活発に働いて活性酸素を退治してくれるので、その被害を受けることは少なくなります。

代謝を促すビタミンB群や、コラーゲンの生成を助け、抗酸化作用のあるビタミンCなどは、体内で作り出すことができず、食べ物から摂取するか、腸内細菌が合成したものを摂りこむ必要があります。腸活により腸内環境を整えると、この腸内細菌がビタミンを合成する働きがスムーズになり、アンチエイジングに役立ちます。

腸活って何をすればいいの?

答えは簡単で「腸を動かす」ことです。それでは、腸を動かすためにはどうすればいいのでしょうか?腸活をするにあたり、「ヨーグルトだけを食べる」「野菜だけを食べる」など、偏った食生活を送ってしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、これはあまりオススメできない腸活法です。「腸活はバランスのよい食生活」が大前提です。そのうえで、腸によいものを積極的に食べたり生活習慣を見直したりすることが大切です。腸活を行うときは、しっかりとポイントをおさえていきましょう。

その基礎となるのは「運動」、そして「食物繊維(プレバイオティクス+腸運動の活性化)」を多く摂って「腸内細菌を整える(プレバイオティクス+プロバイオティクス)」のです。他にもポイントはありますが…

まず、「運動することから紹介していきましょう。カラダを動かすと腸の動きが活性化されます。

腸の後ろには腸腰筋(ちょうようきん)という身体の奥深くにあるインナーマッスルがあります。この筋肉を動かすと、腸が刺激されてぜん動運動を促すことができるほか、腹圧を高めて便を押し出しやすくすることができます。腸腰筋を鍛えるためには、できるだけ階段を使う、速歩で大股で歩くなど、特別な運動でなくてもよいので、毎日こまめに身体を動かすように意識してみてください。

例えば、お腹の手術を受けた人は経験されたことがあると思いますが、病院では手術を受けた次の日から歩かされます。傷口が痛むのに歩かされるのは、手術で止まってしまった腸の動きを取り戻すためなのです。これと同じように、便秘解消や腸活をするには、食べ物に気をつけるだけでは不十分なのです。カラダを動かしてカラダの外側からも腸に刺激を与え、腸を活発に動かすことが腸内環境を整えることの第一歩となります。

以下2点の「腸内細菌を整えること」「食物繊維を食べること」は相互依存的な関係です。

まず、腸内細菌を整えるためには腸内細菌を外から摂る(プロバイオティクス)ことと、腸内細菌を育てる(プレバイオティクス)、の2つの方法があります。

腸活を効率よく進めるためには、腸内の善玉菌を増やす必要があります。そこでオススメなのが、「プロバイオティクス」と呼ばれるビフィズス菌や乳酸菌などの身体によい影響を与える微生物を含む食材を摂取する方法です。これらは主にヨーグルトや乳酸菌飲料に多く含まれています。

摂取したプロバイオティクスは、腸内にいるあいだに短鎖脂肪酸(乳酸や酢酸)を次々と作り、善玉菌が増えやすいように腸内の環境を酸性にしやすくしてくれます。ただし、口から食べた菌は身体にとって部外者とみなされ、免疫機能によって排除されてしまうため、腸内にずっと棲みついてくれるわけではありません。通常は3~7日ほどで便と一緒に排出されてしまうので、毎日摂取するのが理想的。ヨーグルトであれば、1日100~300gを目安に摂取するとよいでしょう。

食物繊維といっても種類があり、食物繊維の中でも水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶けやすい水溶性食物繊維があります。どちらも腸活には不可欠な成分で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を1:2のバランスで食べるのが理想的です。

腸活のオススメ食品は、朝の「玄米」と「メカブ」

▼不溶性食物繊維

不溶性食物繊維を多く含む玄米などの全粒穀類摂取効果が注目を集めています。特に、朝食に全粒穀物を食べることによって糖尿病や心臓病のリスクが低下するという研究結果が報告されており、海外の食事ガイドラインでは“朝”に全粒穀物や穀物繊維に富む食事を推奨しています。

また、その量も問題で、1 日 16 g の全粒穀物摂取で全死亡リスクが 7%、1 日 48 gの摂取で 20%低下することが示されています。

その他、不溶性食物繊維はグリンピース、パセリ、モロヘイヤ、ブロッコリー、ごぼう、だいこんなどに多く含まれます。

▼水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、胃の中でゲル状になる性質があります。ゲル状になることで、コレステロールや胆汁酸を吸着して排泄するので、血中脂質を低下させる作用があります。

また、糖質の吸収も抑制するので、糖尿病や肥満を予防することができます。つまり、これらの作用からダイエット効果やデトックス効果を得ることができるのです。水溶性食物繊維を多く含む食べ物は「メカブ」。メカブには「アルギン酸」や「フコダイン」などの水溶性食物繊維が多く含まれ、毎日手軽に食べることができオススメです。

その他、わかめなどの海藻類や納豆、オクラ、アボガドに多く含まれます。

以上、腸活の中心的役割を担う「食物繊維」や「腸内細菌」といったキーワード、腸活の効果・やり方について解説しました。何と言っても「腸を整える」だけで生活習慣病の予防からメンタルヘルスの安定化、免疫力向上など様々な効果が得られるその“効率の良さ”が腸活のいいところです。

腸活を深く理解し、効率よく「健康」を手に入れてください。

▼善玉菌にエサを与え、善玉菌を増やすせっかく腸活で生きた乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を摂取しても、それらのエサとなるオリゴ糖や食物繊維などが不足してしまうと増殖することができません。そのため、食べ合わせも肝心です。

腸活にお勧めの食材

オリゴ糖は豆類やゴボウ、たまねぎに多く含まれており、食物繊維は穀物やイモ、海藻に多く含まれています。ただし、穀類のなかでも炭水化物を含む食品(白米・小麦など)の摂りすぎはエネルギーの過剰摂取につながり肥満につながる可能性もあるため、海藻類や熟した果実などの水溶性食物繊維を多く含む食材を一緒に食べるようにしましょう。水溶性食物繊維は腸内でも水分を取り込み、消化過程でできた老廃物や毒素を吸着して便として排出してくれるほか、血糖値の上昇を防いでコレステロールの吸収も抑制してくれます。

▼便を出す力をつける腸活は善玉菌を育ててよい便を作るだけでなく、毎日きちんと出す力をつけることも大切です。便を出す力をつけるためには、食物繊維を摂るほか、適度な運動、腸を刺激してぜん動を促すことが大切です。

▼寝起きにコップ1杯の水&朝食を摂る腸の働きは体内時計に左右されており、脳の活動スイッチをつかさどる脳幹網様体(のうかんもうようたい)という部位が刺激されることで、腸の活動も活発になります。この脳幹網様体を刺激する手軽な方法が、寝起きにコップ一杯の水を飲むことです。

脳幹網様体は光や音、味覚や皮膚の刺激などによって覚醒スイッチが入ります。目覚めてすぐに冷たい水を飲むと、空っぽの胃が刺激されて、脳から「ぜん動運動を開始しなさい」と信号が送られます。また、摂取した水の一部は大腸に到達して便に吸収されるため、便を柔らかくするためにも有効です。

また、朝食も排便にとって重要な“大ぜん動”のスイッチになります。

“大ぜん動”とは、胃に食べ物が入ることで胃から腸へと信号が送られて起こる強い収縮運動のこと。朝食を食べると胃や腸が直接刺激されて大ぜん動が起こり、さらに直腸反射によって排便もスムーズに促されます。

▼少し早起きしてトイレ時間を設ける

腸活をスムーズに進めるためには、排便のタイミングを逃さないことが肝心です。

朝食を食べると反射的に大腸が収縮する「胃・結腸反射」が起き、それと合わせて大ぜん動が促されて排便に至ります。この大ぜん動が起こるのは10~30分くらいで、日に数回しか起きません。中でも最も強く起こるのが朝なので、このチャンスを逃すと次は半日から1日以上待つことになってしまいます。そのため、朝はなるべくトイレの時間をゆったり設け、便意を見過ごしたり、我慢したりしないようにしましょう。

▼質のよい睡眠をとる腸活を成功させるためには睡眠にも意識を向けることが大切です。消化管は、休息をつかさどる副交感神経が優位になると活発に動きます。そのため、ゆったりとリラックスして眠ると腸は活発になり、夜のあいだに便を運んでくれて次の日には朝食を食べるとスルッと排便できるようになります。逆にストレスを抱えたまま寝たり夜更かしをしたりすると緊張状態が続いて交感神経が優位になり、消化管の動きも鈍くなって、ウサギの糞のような丸くて細かい便になってしまいます。寝る前にはリラックスタイムを設けて、睡眠の質を高めるように意識してみましょう。

腸活をするときに意識したいこと

腸活は間違った方法で行うと成功しません。そこで、腸活を行う際の注意点とやってはいけないことを解説します。

うんちの状態から生活習慣を見直す

腸は身体にとってよくないものが送り込まれても、毒素を排出しようと一生懸命対処します。そのため、うんちをチェックすれば、腸内環境の様子を知ることができます。よい便にはいくつかのポイントがあるので、自分の便を確認しながら生活習慣を見直すきっかけにしてみてください。

便秘の原因と解消法|腸内環境から便秘を見直そう

→うんちの形状と腸内環境について、解説しています

過度なダイエットや断食は避ける

腸のぜん動運動は食べ物が胃に入ると起こるため、過度なダイエットや断食で食事を抜いているとぜん運動が起きる回数が減り、腸の老化につながります。特に近年注目を集めている糖質制限ダイエット(炭水化物抜きダイエット)は、糖質だけでなく食物繊維の摂取量も減ってしまうため、便秘のリスクが高まります。

さいごに

とにかく続けてみる

腸活は、特別なものを食べたりジムに通って運動をしたりする必要はありません。不規則だった睡眠や食生活を見直すだけでも、腸内環境は十分変わります。また、神経質になりすぎると面倒になって諦めてしまいかねないので、ストレスをためないようにリラックスできるものを探しておくことも大切です。

腸活はダイエットや美容に役立つだけでなく、健康を維持するうえでも重要です。まずは自分の腸内環境がどんな状態なのか、便をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。